東京急行電鉄は2013年春、東急東横線・目黒線の武蔵小杉駅(川崎市)に直結するショッピングセンターを開業する。建設中の駅ビルのホーム階を挟んだ上下の階と、隣接する複合高層ビルの1~4階に入居する。同駅周辺は高層マンションやオフィスビルの建設が相次いでいる。新たな商業施設を整備して人口流入に対応し、沿線価値の向上につなげる。
商業施設「武蔵小杉東急スクエア」の売り場面積は1万1200平方メートルで、テナント数は約90。飲食店、衣料品や雑貨売り場、総菜や菓子売り場、保育所や学童保育施設の4つのエリアで構成する。12月中旬には駅ビルの1階改札前でコンビニやコーヒー店など6店舗が先行開業する。
東急線の武蔵小杉駅では「東急武蔵小杉駅ビル」が建設中だ。西側には駅と直結し川崎市立図書館やマンションなどを併設した39階建ての高層ビルが建つ予定だ。武蔵小杉東急スクエアはこの2つのビルに入居する。高層ビルの1階には食品スーパーのマルエツも入居する。また、駅の東側にも医療モールやマンションが入る高層ビルが建設中だ。
東急は医療・福祉施設や公共施設が集まる駅直結のビル群に商業施設を設けることで、周辺住民の需要を取り込む。
武蔵小杉駅の周辺では07年ごろから工場や企業グラウンドなどの跡地を活用した高層マンションや高層オフィスビルの建設が本格化した。マンションの低層階に市民の生涯学習の拠点を設けたり、消防署の上にホテルを建設したり、市民生活を意識した街づくりが進んでいる。川崎市の小杉駅周辺総合整備推進室は「駅を中心に歩いて暮らせる街を目指す」としている。
同地域は10年春にJR横須賀線の武蔵小杉駅が開業して東京・横浜方面へのアクセスが良くなり、人口流入が加速した。川崎市によると、再開発が本格化した07年以来4200世帯以上が新たに入居した。高層マンションは計画中のものも含めると10棟を超え、18年までに周辺でさらに約4500戸分が供給されるという。
日本経済新聞 2012/10/26 6:01 より