東京・霞が関に近いオフィス街、虎ノ門が、2014年に向けて大きく変わろうとしている。
通称「マッカーサー道路」とよばれる環状2号線と高層ビルを整備する「環状第二号線新橋・虎ノ門地区の再開発・道路事業」プロジェクトが進行しており、東京ミッドタウンに次ぐ高さを持つ52階建て高層ビルが建築されることになっているのだ。
その高層ビルの47-52階に入るホテルが最近、明らかになった。
米ホテルチェーン大手のハイアット・ホテルズの「アンダーズ」である。
アンダーズブランドはすでに上海など世界に9つ、開業しているが、日本では初めて。有名デザイナーが内装を手がけ、豪華なラウンジでお茶をのみながらチェックインするなどのサービスがある。クリエイターの展示会や文化人の講演会などのイベントを開くなど、都会的な雰囲気が特徴だという。
客室数は168室と大きくはなく、宿泊料金は「パークハイアットとグランドハイアットの間ぐらい」(阿部博秀・日本ハイアット副社長)。1人1泊4万円程度、外国人宿泊客が7割程度とみられている。
アンダーズが14年に開業するともっとも影響を受けるのは、同じ虎の門エリアにあるホテルオークラ東京ではないかと、業界内ではみられている。
現実に上記の価格帯となれば、単価はアンダーズのほうが3割以上高いが、新しさや華やかさでオークラは見劣りし、富裕層客が流れる可能性がある。
一方、消費者の価格志向が進み、他社の1人1泊1万円程度の宿泊特化型ホテルも侮れなくなった。
改めて浮上しそうなのが、ホテルオークラ東京の建て替え問題だ。オークラは計画を否定するが、この虎の門界隈では、北側の国立印刷局、虎の門病院、共同通信会館周辺の再開発に向けて、地権者協議会がスタートしている。
また、森トラストが買収した虎の門パストラルもいまは駐車場だが、水面下で再開発に向けた議論が進められている。オークラは、この流れと無関係ではいられないだろう。
来年、虎の門の注目度は俄然、高まりそうだ。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 大坪稚子)