世界貿易センタービルの開発計画は、高さ150メートル以上のオフィスビルでは初の建て替え事例となる。都市の高度利用を目指し国や東京都は一定の条件を満たしたビルに容積率の緩和を認めている。周辺地域と一体で再開発することで一層の大規模化が可能な場合もある。高層ビルの建て替えと、一段と高層にする事例が今後増えそうだ。
都内の高さ100メートル以上のビルは1968年の霞が関ビルの完成を皮切りに増え続け、都によるとオフィスビルやマンションなど合わせて現在400棟近くある。
一方で100メートル以上の都内のビルのうち、今までに取り壊されたのはオフィスビルの「大手町フィナンシャルセンター」や、上野公園近くにあったホテルの「ソフィテル東京」の事例がある。「グランドプリンスホテル赤坂」をホテルとオフィスの入るビルに建て替える工事も進んでいる。いずれも建て替え前に比べ、大型の建物にする計画だ。
貿易センタービルの建て替え計画も容積率の緩和が前提になっている。今回の開発は本来の2倍近い容積率を前提に計画されている。事業者は今後、公開空地や公共空間を設けることなどを理由にビルの大型化を求める傾向が一段と強まるとみられる。