国内最高のビル解体工事 本格開始


「赤プリ」の愛称で親しまれた東京都心の高さおよそ140メートルの超高層ホテルの解体工事が本格的に始まり、13日、40階建てのビルを、2階分、およそ6メートル下げる作業が行われています。
国内では、これまでで最も高いビルの解体工事だということです。
東京・千代田区にあるかつての「赤坂プリンスホテル」は、去年3月に閉館となり、昭和58年に開業した高さおよそ140メートル、地上40階建ての新館の解体が今年6月から進められています。
高級レストランなどがあった最上階と、スイートルームなどがあった39階は、作業に伴う粉じんが外に出ないよう囲いで覆われ、壁や柱などが取り壊されて吹き抜けになっていて、合わせて15本のジャッキで支えられた状態になっています。
13日はこのジャッキの高さを、バランスを崩さないようコンピューター制御で少しずつ下げていく作業が行われています。
作業が進むと、下の階の窓が徐々に囲いの影に隠れていく様子が確認できました。
13日は最終的に、2階分、およそ6メートル下げることにしています。
今回は、国内では、これまでで最も高いビルの解体工事だということです。
解体は、今後も2階分ずつ進められ、来年5月ごろには、「赤プリ」の象徴だった新館が姿を消すことになります。
跡地には、ホテルやオフィスなどが入る高さ180メートルのビルと、高さ90メートルのマンションが建設され、4年後の平成28年に完成することになっています。

ポイントは“上層階の囲い”

今回の解体作業のポイントは、上層階を覆う大きな囲いです。
もともとはありませんでしたが、鉄の板などを使って地上で組み立てられたものをクレーンでつり上げ、今年9月に取り付けられました。
解体で出る粉じんや騒音、それにがれきなどが外に出るのを防ぐことや、作業員の安全を確保することが目的です。
囲いにある窓は光を取り入れるために設けられていますが、特殊なパネルが使われていて、こちらも粉じんや騒音が外に出るのを防ぐことができます。
さらに窓のデザインは、解体中であっても「赤プリ」のイメージを壊さないよう工夫されています。
解体が進むと、この囲いが屋上部分とともに下がっていきます。
40階と39階は、壁や柱が取り壊され吹き抜けの状態で、合わせて15本のジャッキで支えられています。
作業では、ジャッキを同時におよそ20センチずつ下げる工程を20回以上繰り返し、バランスを取りながら、最終的に2階分、およそ6メートル下げます。
1日がかりのこの作業を20回繰り返すと、「赤プリ」は屋上部分だけの姿になりますが、各階の壁や柱などを取り除くのに10日から2週間かかるため、すべての作業が終わるのは、来年5月ごろになる見込みです。

上からか?下からか?

高さ100メートル以上の超高層ビルは全国におよそ800棟あり、このうち築20年を超えるものが、首都圏を中心に150棟以上あるとみられています。
このため各建設会社は、建て替えの増加を予想して、超高層ビルを解体する工法の開発に力を入れていて、今回のように、屋上部分や上層階を残して解体現場を囲いで覆うことで、天候に左右されず作業を行い工期の短縮につなげたり、粉じんや騒音が外に出るのを防いだりする工法が新たに導入されています。
こうした工法には、大きく分けると、ビルを上から壊す方法と、下から壊す方法の2つがあります。
このうち上から壊す方法は、屋上と囲いの部分がそのまま下がっていくので、あたかも高層ビルが帽子をかぶったまま小さくなっていくようにみえます。
屋上部分だけを支えるため、ジャッキにかかる負担が小さく、比較的安定した状態でジャッキを下げることができるというメリットがあります。
ただ、解体で出たがれきを下まで運ばなければなりません。
一方、下から壊す方法は「だるま落とし」とも呼ばれ、解体作業が地上でできるため、がれきを容易に運び出すことができます。
ただ、1階部分で建物全体を支えるため、ジャッキにかかる負担は大きくなります。
今回の解体は、2つのうち上から壊す方法で行われています。

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