宇都宮 再開発ビルでにぎわい創出を模索


「子どもの頃の光景を見ているようです」。10月27日午後3時過ぎのオリオン通り。市民グループ「宇都宮街づくり大学」代表の根本泰昌さん(36)は、通りを埋める人出に喜んだ。
 同大学が主催した、生産者と消費者が対話しながら野菜や果実などを販売するイベント。行列ができる生産者のブースもあった。「中心街は市の顔。仲間と一緒に元気にしていきたい」という。

 そのオリオン通りのすぐ北側、宇都宮二荒山神社周辺では市街地再開発事業が進む。1997年に宇都宮パルコができ、2007年にはうつのみや表参道スクエアが誕生。一昨年は24階建てのタワーマンションが完成した。
 さらに周辺3地区でも事業が検討されている。そのひとつ、宇都宮パルコの東側にある「大手地区」では、広さ0・4ヘクタールの地区に25階程度の再開発ビルの計画が進む。シニア向けの設計にした住居も備えたマンションに、クリニックや店舗が入る予定だ。地権者らでつくる再開発準備組合の和気幸雄理事長は「当初の計画より縮小されたが、人が住めばにぎわい、商業施設も集まる」と話す。
 タワーマンションもすでに165戸がすべて完売。「まちなか居住」でのにぎわい創出に期待がかかる。
 
 一方で、苦戦しているのが、うつのみや表参道スクエアだ。市の出張所や事業所などが入居する。総事業費約66億円のうち、県と市がそれぞれ6億円の補助金を出したが、オープン当初から空きスペースができたままでのスタートとなった。フィットネスクラブが撤退した4階部分はいまも空いたままだ。
 再開発の調整を担当する市の市街地調整課再開発室は「持ち主と情報交換はしているが、補助金を出したからといって行政が介入するのは難しい」と明かす。
 同神社周辺の一画にあり、MEGAドン・キホーテなどが入居するビルでは、建物を建て直し、マンションと、県立図書館の分室的な機能を整備した再開発ビルにする計画も浮上したが、県は財政難などを理由に難色を示し、先行きは不透明だ。
 バンバ地区再開発準備組合の斎藤高蔵理事長は「食料品店のほか、医療機関やマンションなどがあり、周辺の店舗にもいい影響を与えるような事業計画を中心市街地につくるよう努力している」と話す。
 多くの地方都市で街の空洞化が指摘されるなか、イベントには多くの人が市中心街に足を運ぶ宇都宮。魅力ある再開発に向けて、官民の模索が続いている。 

朝日新聞:11月7日

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